ここのところ、組体操の危険性と教育的効果についての議論が活発に交わされていますが、そんな中、義家弘介なる人物が、新聞紙上でこんなことをおっしゃっていました。

「5~6段の組み体操で、息子は負荷がかかる位置にいて背中の筋を壊したが、誇らしげだった」
「私自身がうるうるきた。組み体操はかけがえのない教育活動」

はあ、そうですか。

でもね、もし「背中の筋を壊した」「背骨を骨折した」だったとしたら、「誇らしげだった」とか「うるうるきた」とか、のんきなことは言ってられませんよ。そして、一歩間違えれば、そういう重篤な事態になりかねない危険をはらんでいることは、実際の事故からもわかります。

ピラミッドよりタワーが危険 組体操事故 障害事例の分析

10段ピラミッドなんて高さ7メートルですよ。大人でも恐怖を感じます。

だいたい、大人が高所(床面からの高さ2メートル以上)作業に従事する場合でさえ、転落事故防止のため、囲い、手すり、覆い、防網、安全帯といった設備・道具を使うことが、厚生労働省の「労働安全衛生規則」に事細かく規定されています。

それなのに、ぐらぐら揺れる高さ7メートルの人間脚立のてっぺんに、何の安全策もないまま子どもを屹立させる。とても正気の沙汰とは思えません。このような重大なリスクを冒してまで、いったい何を目指しているんでしょうか?

「組体操の『共創空間』が生み出す教育的価値」

この論文によると、組体操の教育的価値は「共創空間がもたらす感動」という一点に集約されるようです。でも、人生を棒にふるような大ケガをしてしまっては、感動もへちまもありません。著者自身が「巨大な人間ピラミッドがもたらす感動の呪縛」に囚われてしまっている気配が濃厚です。

かつて企業人だったせいか、私は、どうしても費用対効果の面から物事を判断しがちなのですが、組体操について言えば、費用(=危険)に見合うだけの効果(=教育的価値)が得られるとは到底思えません。

組体操はおもに小学校で取り組まれていますが、小学校の学習指導要領には、実施の根拠となるような記載は一切ありません。法的な裏づけがないどころか、教育委員会によっては禁止しているところさえあります。

こういう状況の中、かすかな希望が……。

年度内に組体操の指針示す 文科相が明言

今後、ぜひ改善の方向に進むことを期待します。

なお、組体操の危険性についての考察は、こちらの記事がおすすめです。

組体操リスク

ちなみに、うちの学校では体育祭でも授業でも組体操は行いません。自分の子どもたちも組体操とは無縁でした。もし、そうでなければ私は反対派の急先鋒になっていたことでしょう。