本校の校内ネットワークの構成は少々複雑で、大きく基幹系(成績処理、進路指導、生徒指導)と情報系に分かれ、さらに情報系は庁舎系(教員用インターネット接続)と地域系(生徒用インターネット接続)に分かれていて、それらのネットワークはそれぞれ分離独立しているので、相互乗り入れはできません。

なぜこんなに複雑で、使い勝手の悪い環境になっているのか。それは、二代前の校長だったS氏が、市教委からのネット環境整備のオファーを断ったからです。

その理由というのがスゴい。

「インターネット接続すると、教員たちが自分(校長)の悪口をメールやSNSで垂れ流すから」

だそうです。

驚くというより呆れた市教委サイド。担当部署のトップだったT氏は「それなら、お好きにどうぞ」と見放しましたが、その2年後、T氏がS校長の後任として本校に赴任し、負の遺産を引き継がなければならないことになったのは、運命のいたずらとしか言いようがありません。

「あの時、強引にでも環境整備しとけばよかったよ」とT校長、苦虫を噛み潰したような顔で述懐していましたが、以上の話はT校長から直接、私自身が話をうかがったので、ほぼ事実に相違ないと思われます。

この他にも、S校長、3年間の在任期間中に、数多くのトンデモエピソードを生み出し、学校組織を破壊してくれました。

年度初めの多忙がようやく落ち着いた5月の連休明け、突然出席番号の変更を命令。男女混合の五十音順から男女別に。

「卒業アルバムの業者を変更しました」と、場違いな終業式で鼻高々と披露。そこでやめとけばいいのに
「ただし、アルバムの値段が安くなるのは2年生からで、3年生は今までどおりです」とやったもんだから、3年生から大ブーイング。校長が生徒から罵声を浴びせられる終業式って、初めてでした。

生徒だけでなく保護者からも評判がいい女子の制服(ブレザー)をセーラー服に変更しようと画策。理由は自分(校長)の嗜好。学校説明会に向かう車の中で「私はセーラー服が好きなんだ」と言われた時は、夏の盛りだったのに背筋を悪寒が走りました。

ウイルス感染した私物PCを持ち込み、USBメモリ経由で一部の校内PCにまで汚染を拡大。おまけに人(私)に駆除を押し付け、「校長室でやってくれ。外部に漏れるとまずいデータがたくさんある」とか。確かに怪しげなJPGファイルが山のように保存されていましたね。

学期末の成績処理の時期、教務部員(一時期、私は教務部に所属していました)4人で残業していると「みんな、これで一息入れてください」とS校長、笑顔で机の上に何かを置いて去っていきました。机上に残されていたのは、なんと100円玉1枚。4人で顔を見合わせて「100円でどうしろと言うんだ?」

などなど……。

民間企業時代にも任に耐えない上司というのはいましたが、S氏は極めつけでしたね。バカが上に立つと下の者が苦労し、組織が崩壊する好例でした。