『情報』の教員になる方法 その2」で「情報実習」の免許状についてふれましたが、ここでもう少し詳しく説明したいと思います。

情報実習を含む実習系の免許状は、「教育職員免許法 第六条 別表第五 第二欄 イ」を根拠として、教育実習を受講することなく取得できます。

第一欄 受けようとする免許状の種類 第二欄 基礎資格
高等学校において看護実習、家庭実習、情報実習、農業実習、工業実習、商業実習、水産実習、福祉実習又は商船実習を担任する教諭(の一種免許状) イ 大学において第一欄に掲げる実習に係る実業に関する学科を専攻して、学士の学位を有し、一年以上その学科に関する実地の経験を有し、技術優秀と認められること。

実習助手として学校現場で勤務している人が、これらの免許を取得しようとする場合は、免許法附則第九項が適用されるので、別の話になる。

たとえば、情報系の大学で情報システム学科を専攻して卒業し(=学士(情報学)の学位を有し)、民間企業でシステムエンジニアとして1年以上勤務して、「デキるやつだ」と認められれば、情報実習の免許状を取得できるのです。このように書くと、なんだか簡単に免許を手に入れることができそうですが、「実地の経験」に該当する具体的な職業・職種とか、「技術優秀」と認められる基準とかについて、明確な線引きがされていないところがミソ。教育委員会の判断次第なんですね。

ちなみに、「実地の経験」について教育委員会に問い合わせたところ、「教育現場での経験に限るものではない」という回答をいただきました。民間企業でも問題ないそうで、要は大学での専攻と職種が一致していること、あるいは延長線上にあることという意味だそうです。

さて、そもそも実習免許が設けられたのは、高度成長期に実業系の教員免許を取得した人の多くが民間企業に流出した結果、教員の数が不足するという事態を招いたことがきっかけであり、現在では有名無実化しています。また、たとえ免許を手に入れたとしても「○○実習」での採用は、まずありません。

それでも、あえてこれらの免許を取得しようとするのは、免許法別表第四の規定によって、取得済みの免許状を基礎として、同一校種の他教科の免許を取得することが可能になるからです。しかも、その場合は学力の検定のみで実務の検定はないので、教員としての勤務経験も必要ありません。これを適用すれば、たとえば情報実習を基礎免許として情報の免許取得が可能になるのです。