一般企業の経理職から教員への転職って、現実的なのでしょうか。
経理職から教員へ……というと、連想されるのは商業高校ですね。
すでに「商業」の教員免許を取得している人が、高校「商業」の教員を目指すというのが、もっとも妥当なケースでしょう。決して多くはありませんが採用もありますし、試験では社会人特別枠も使うことができます。
「商業」以外の他教科の免許を持っていて、その教科の教員を志望する場合は? せっかくの経理職の経験を活かす機会があまりないと思われるので、もったいなくはありますが、その教科が好きなのであれば、ひたすら採用試験突破に向かって頑張るしかありません。
免許をまったく持っていない場合は? これは正直厳しいですね。
免許取得のためには(基本的には)教育実習が必要ですが、「教育実習に行くから、2~3週間休ませてくれ」と願い出て、すんなり休暇を認めてくれるような会社はまず存在しません。
教育実習を経験せずに商業系の免許を取得する方法は皆無ではありませんが、それこそかなり実現性の薄い話です。
【※後日追記】上のように書きましたが、案外そうでもないかもしれません。詳しくはこちら →「大学等での専攻+実務経験」
商業に関する教員免許は、そのものズバリ「商業」の他に「情報処理」「計算実務」「商業実習」というものがあります。
「情報処理」は、教科「商業」の4分野のうち「ビジネス情報分野」だけを教えることのできる免許です。ビジネス情報分野には、情報処理、ビジネス情報、電子商取引、プログラミング、ビジネス情報管理という科目があります。
「計算実務」については、以前は「計算事務」という免許に符合する科目がありましたが、学習指導要領の改訂で統合されたり削除されたりして、科目がなくなってしまいました。
加えて「情報処理」と「計算実務」は現時点で免許を取得する方法がありません。以前は、文部科学省の高等学校教員認定試験に合格することで取得への道筋があったのですが、その試験自体が平成16年度以降、休止されてしまったのです。
最後の「商業実習」は、教育職員免許法別表第五イの規定にもとづいて免許取得が可能ですが、細かい部分は授与権者の判断に委ねられています。当然ですが、いきなり教育委員会を訪れて「免許ください」「はい、どうぞ」というわけにはいきませんし、少々複雑な制限もあるみたいです。
したがって、一般社会人から教員への転職全般に言えることですが、教員免許を持っていない場合、実現のハードルは非常に高いものがあります。
話は変わって、最近は普通科高校でも、商業科科目を開設している学校もありますし、バラエティに富んだ学科も設けられており、ずばり「経理」という言葉が学科・コース名等に入っている学校もあります。
高等学校では、ご覧のとおり。
商業高校、というか商業科ではどういったことを教えているかというと……
分野 | 科目 | 基礎的科目 | 総合的科目 |
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マーケティング分野 | マーケティング 商品開発 広告と販売促進 |
ビジネス基礎 | 課題研究 総合実践 ビジネス実務 |
ビジネス経済分野 | ビジネス経済 ビジネス経済応用 経済活動と法 |
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会計分野 | 簿記 財務会計Ⅰ 財務会計Ⅱ 原価計算 管理会計 |
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ビジネス情報分野 | 情報処理 ビジネス情報 電子商取引 プログラミング ビジネス情報管理 |
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