女子生徒から評定について愚痴られました。

「受験のときに大学に送られる調査書って、5段階評定だそうですね。だったら、がんばって学期ごとの成績で10段階の10をとったとしても、9とか8とかの人と同じ成績になるんですよね。それって、なんだか不公平というか、すっきりしないんですけど……」

そういうことは10をとってから言え、とも思いますが、まあ、言いたいことはわかります。

勤務校の場合、評価の公平性・透明性をアピールするということで、各科目についてシラバスの中で「評価資料(定期試験とか提出物とか)および評価の観点とその割合」として、評価の方法を明確に記しています。

それに基づいて生徒の成績を100点満点で算出し、次の換算基準にしたがって、10段階評定および5段階評定を決めているのです。

評価点の合計(100点満点換算) 評定
10段階 5段階
90点以上 10 5
80点以上 9 5
70点以上 8 5
60点以上 7 4
以下続く……

女子生徒の指摘どおり、評価点の合計が100点でも70点でも、5段階評定では同じ5になります。確かに70~100点というのは、かなり幅がありますね。

この評定ですが、推薦入試の際により大きな意味を持つことになります。「全体の評定平均値」で出願可否のラインが引かれるためです。

「全体の評定平均値」とは、調査書に記載された全科目の評定合計値を、全科目数で割ったもの。国公立大の多くは、この値が4.0以上であることを出願条件としています。

評定平均値を上げるには、しっかり勉強して定期テストで高得点をとるのが一番の近道なんですが、どういうわけか生徒の目には近道よりも“邪道”のほうが魅力的に映るようで……。

それは、評定が甘くなりがちな(5や4をとりやすい)実技系の科目を選択することです。これ、意外に落とし穴なんですけどね。

地道に勉強すればそこそこの得点がとれる科目を避け、好きでも得意でもない科目を選択したあげく、期待していたほどの成績を上げることができずに、結局、推薦基準に到達しませんでした、などということもあります。

高校生の皆さんには、浅はかな考えは捨てて、月並みですが自分の進路に必要な科目、あるいは興味があって深く学びたい科目を選択することを、強くお勧めします。