無線あるいは海技関係の資格プラス実務経験があれば、教員免許状を取得できる場合があります。根拠規定は「教育職員免許法施行法第二条 番号20の2 ロ」と「教育職員免許法施行法第二条 番号20の4」。
教育職員免許法施行法というのは、教育職員免許法を施行する際(昭和24年9月1日)に、それまでの旧免許状から新免許状に切り替えるために作られた古い法律ですが、現在でも有効です。
教育職員免許法施行法第二条 番号20の2 ロ
まず「教育職員免許法施行法第二条 番号20の2 ロ」ですが、これは第一級総合無線通信士か第一級陸上無線技術士の資格を持っていて、かつ3年以上の実務経験があれば、中学校二種(職業)または高等学校一種(工業)の免許状を取得できるというものです。ただし、中学校二種(職業)は義務教育においては消滅していて、現状では特別支援学校高等部の普通教科に位置づけられていますが。
総合無線通信士・陸上無線技術士の資格ですが、受験制限は特にありません。試験実施場所は全国15~17箇所に散らばっており、合格率は10%程度とか。
資格取得は努力で何とか突破できそうですが、問題は実務経験ですね。アマチュア無線は実務とはみなされないので、無線関係の業務に就いていないと「3年以上の実務経験」をクリアするのは難しそうです。
↓は、第三級無線通信士の資格取得から30年かけて(!)中学校教諭専修「社会」の教員免許状を手にした方のブログです。
資格を一つずつグレードアップして教員免許状に到達したことはわかるのですが、肝心の実務経験の部分が残念ながら不明です。おそらく、無線従事者なんでしょう。
その他の参考サイトをあげておきます。
教育職員免許法施行法第二条 番号20の4
こちらは「海技士」の資格です。
三級海技士(航海または機関)の資格を有して、5年以上の実務経験(ただし船橋当直限定/機関当直限定不可)があれば、中学校二種(職業)あるいは高等学校一種(商船)の免許状を取得することが可能です。
海技士資格の合格率は30~40%程度と、無線よりもやや高いのですが、受験資格が厳しく、商船大学もしくは海上技術短期大学などの卒業資格と同時に一定の乗船実習を終えている必要があります。つまり海事教育機関卒業者が対象なんですね。
国家試験は年4回程、各地方の運輸局で実施されます(実施元は国土交通省)。
無線資格の場合と同様に中学校二種(職業)は意味がありませんが、実は高等学校一種(商船)も現在は使えない免許です。戦後の学制改革で設置された国立商船高等学校は商船高等専門学校に昇格し、商船高校はすべて姿を消していますので。
商船高校と混同されがちなのですが、水産高校は存在します。しかし「商船」と「水産」は別の教科ですから、当然免許も別個のものであり、「商船」の免許状で「水産」の授業を行うことはできません。
したがって、「商船」免許状を取得しても商船高校で教壇に立つことはできませんが、ではどうするかというと、前出の商船高等専門学校の教員を目指す手があります。いわゆる「商船高専」ですが、ここは教員免許状がなくても採用されることがあります。また、商船系の教員としては、海技教育機構管轄の学校、つまり国立海上技術学校や国立海上技術短期大学校(全国に7箇所)という選択もあります。
こうしてみると、無線系・商船系いずれにしても、このような業種に無関係の人が、ゼロから教員免許状の取得を目指す手段としては、ここで紹介した方法はかなり厳しいと言わざるを得ません。逆に関係業務、特に無線系の業務に就いている方が教員免許状の取得を目指す場合には、有効な手段になるでしょう。
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