雑談力が上がる話し方――30秒でうちとける会話のルール
齋藤 孝
ダイヤモンド社
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頻繁にテレビ出演もされている明治大学文学部教授・齋藤孝氏の著作です。

作中では、雑談の重要性がくり返し強調されています。こんなふうに……

あなたが人から信頼され、人に安心感を与え、社会性がある人だと評価される。そしてそこから気持ちのいい関係性やつながりに発展したり、もっと言えば多くの人から愛されたり、仕事などでは大きなチャンスを得ることもある。たった30秒のムダ話には、そのような大事な意味があることを忘れないでください。(9ページ)

雑談力は、社会性を高めるためのスキルです。そして、これほど社会に出てすぐに役立つスキルはありません。(34ページ)

で、気軽にウィットに富んだ雑談ができるようになるために、雑談ネタを仕入れストックする方法とか、雑談のきっかけ作りができるアイテムとか、雑談が弾む環境作りとか、著者のうんちくが紹介されています。例えば……

そのテーブルの上にコーヒーを置くと、よりリラックスして返答できるようになるのです。つまりモノがあるだけで人間の緊張感はかなりとれるということ。(65ページ)

確かに、著者が紹介しているこれらの技を日常生活の中で駆使すれば、着実に雑談力は上がっていくでしょうね。

そもそも、私がこの作品を読んだのは、自分の雑談力が高いとは思っていない上、職業柄、授業開始直後のつかみとして雑談を巧みに使えるようになりたいなというのが動機。自分にとって収穫だったのは

(教師に)求められているのは、授業の導入としての雑談力と、そこから巧みに本題の授業へと切り替えられる能力。(150ページ)

日本古来の芸能文化である落語に、切り替えの絶妙なニュアンスを身につけるヒントがあるのです。(151ページ)

さすがに、具体的な落語の内容には触れられていないので、読んだだけでレベルアップというわけにはいきませんが、つかみから本題への巧みな移行を学ぶために、著者が紹介している古今亭志ん生師匠の落語を聴いてみようかな。

調べてみると、師匠の落語、YouTubeにも上がっていました。著作権的には大丈夫なんだろうか?