絵本を読むと「天職」が見つかる
廣済堂出版 (2015-02-10)
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著者は心理カウンセラーの中越裕史氏。天職・やりたいこと探し専門の心理カウンセラーを名乗っていらっしゃる氏は、20代前半から転職をくり返し、30代半ばまで悶々として、ご自身の進むべき道を模索されたという経歴の持ち主です。

「『天職』が見つかる」とありますが、天職探しの具体的なノウハウではなく、心構え、というと堅苦しい感じになりますが、気持ちの持ち方・心の有り様のヒントを絵本のエピソードになぞらえて紹介した本です。

以下、引用。

そんな弱さを持っていることも、人間として自然なことです。だから、人の目を気にする自分を、責める必要はありません。じかし、もしもあなたが自分らしく生き、働きたいと考えているなら、たとえ人から批判されても自分の考えを最優先することが必要です。

「嫌われる勇気」で触れたアドラー心理学の本に通じる考え方ですね。

僕の哲学は、「人間、生きて死ねば、それで合格」

ほんのちょっとでも好きなこと。ほんのひとかけら興味があること。自分の心が反応するものへ、少しだけ手を出してみませんか。

今の自分は、もし未来の自分に説教されたとしても、何も言い訳ができない。結果がダメだとしても、いまできることをやっておこう。

その都度、その時の自分にとって「大丈夫」なこと、その時、乗り気になれることだけをやっていました。

行動するから、やりたいことが見つかるのです。

文章から優しさがにじみ出ていて、読んでいて、ほっとします。

著者ご自身が消極的でおとなしく生きてきたということで、随所にご自分の“弱さ”も暴露されており、上から目線で「導いてあげます」的な押しつけがましさがまったくありません。ともに迷い悩みながら生きている同士の言葉として、自分の中にスッと入ってくる感じなんですね。

末尾に、実際のカウンセリングシーンでのやり取りも記載してあって、「クライアントのこういう言葉・態度には、どう応えるのか」の参考になります。

「焦らず気張らず、自分の心に素直に生きてみようよ」ということだな。