「情報」の教員になる方法 その2」で紹介した「実習助手」について、今回はもう少し詳しく。

実習助手になれば、教員免許を持っていなくても授業に携わることができます。ただし、学校教育法第60条第4項に「実習助手は、実験又は実習について、教諭の職務を助ける」とあるように、あくまで「助ける」だけで、自ら授業をリードすることはできません。

学校教育法第60条第2項では、高等学校には「実習助手を置くことができる」とされており、法律上、実習助手の配置は任意のはずなのですが、文部科学省令である高等学校設置基準第10条には「必要に応じて相当数の実習助手を置くものとする」とあり、実習助手の配置が必須であるかのような書き方になっています。

資格と採用

上述のように、教員免許は基本的に必要ありませんが、自治体によっては実習助手採用試験の際に教員免許を求めるところがあります。また逆に、教員免許を持っている場合や4年制大学を卒業している場合は、採用試験の受験資格を失うことも。

その採用試験、おおむね7月から翌年3月までの期間に実施されるようです。ただ、自治体によって毎年実施されるとは限りませんし、採用試験を経ずに臨時的に任用するケースもあります。

教科

普通教科の「理科」「家庭科」「情報」であれば、普通高校勤務の場合もありますが、きわめて少数です。

やはり“実習”助手という職務の特性上、「家庭科」「水産」「農業」「工業」「商業」「福祉」「看護」「情報」といった専門教科が多く、実業系(商業・工業・農業・水産)高校や総合学科校での勤務が大多数です。

また、専門分野が不明確で「学校全体の実習助手」や「学校司書」のような任用方法もあるようです。

待遇

教諭のサポート役と言われながら、実際の仕事の範囲はかなり広く、教諭と同等に校務分掌・部活動などの職務を任されます。ホームルーム副担任に充てられることも。ただし部活動では、単独引率権限が与えられないのが一般的です。

また、教科以外の特定業務の専任とされる場合もあります。情報系の実習助手が校内の情報管理を一任されるといったケースですね。

肝心の給与は教育職給与表の1級。つまり教諭(2級)よりも1ランク下で、だいたい40代で実質的に頭打ちになります。

農業、水産、工業(電波含む)、商船の実習助手で、実習や付随業務に従事する時間が概ね勤務時間の半分以上になると、産業教育手当が支給されます。詳しくは産業教育手当支給規則で。

年次休暇、その他の労働条件は他の教員と同じですね。

免許取得

免許法附則第9項により、学歴や在職年数に応じて大学等で所定の単位(10単位)を修得すれば、看護実習、家庭実習、情報実習、農業実習、工業実習、商業実習、水産実習、福祉実習又は商船実習を担任する教諭の一種免許状を取得できます。

任用替え

経験年数・年齢・給与号俸の条件を満たす場合、「実習教諭」や「実習担任教諭」に任用替えされて、給与表が教育職1級(実習助手・常勤講師)から2級(教諭)に変更され、給与が上がることがあります。いわゆる「2級ワタリ」と呼ばれる制度(?)です。