教員採用試験に「社会人特別選考」という枠を設けている自治体が増えています。

これは、1999年(平成11年)に教育職員養成審議会が第3次答申「養成と採用・研修との連携の円滑化について」の中で提言したもので、社会の多様化が進む中、学校組織の均一化・画一化・硬直化を防ぐために、一般企業等での勤務経験者の中から優れた人材を確保するために設けられた制度です。

教員採用試験の倍率はきわめて高く、その結果、教育現場には学力試験の成績に優れた“偏差値秀才”がともすれば集まりやすいという面があることから、幅広い社会人経験をもつ教員が存在する意義は大きいと思われます。

しかし多忙な企業人にとって、採用試験のための勉強時間を十分に確保することは困難。

そこで、自治体によって差はあるものの、社会人特別選考においては一次試験における筆記試験が免除される場合がほとんどで、専門教科の勉強に集中できるように配慮がなされています。

さて、社会人特別選考による採用者がどのくらいいるのかというと、2013年(平成25年)度の実績ですが、多いのは、大阪府45人、神奈川県33人、横浜市21人、三重県11人、広島県・広島市10人など。

この中から、大阪府広島県をピックアップして、最新(平成28年度)の採用案内を調べてみました。

大阪府

社会人経験者対象の選考は、次の二種類に分けられています。

教諭普通免許状を所有する者

年齢要件は「昭和40年4月2日以降に出生していること」、つまり今年度50歳になる人までです。

資格要件は「法人格を有する民間企業又は官公庁等において、常勤の職としての勤務経験が平成27年3月31日までに通算5年(休職期間等を除く)以上あること」。フルタイム勤務の正社員または正規職員と同等の勤務形態であれば、派遣社員や契約社員等であってもよいそうです。受験願書(指定の定形様式)に在職歴の記入欄があります。

特別免許状(高校「工業実習」)の取得を前提とする者

年齢要件は「昭和31年4月2日以降に出生していること」、つまり今年度59歳になる人までです。

資格要件は、上記「教諭普通免許状を所有する者」の要件に加えて

  • 高等学校を卒業した者
  • 職業能力開発促進法で定める技能士(1級機械加工技能士又は2級機械加工技能士)の資格を取得していること

となっています。当然、技能検定の合格証書の写しが必要になりますね。

その他、資格要件を証明する書類の写しを求められていますが、具体的にどういうものをそろえればいいのかまではわかりません。ケースバイケースということのようです。