前回の続きで、教員採用試験「社会人特別選考」広島県の場合です。

広島

対象の教科は、高等学校教諭の工業・看護のみです。

年齢要件は「昭和31年4月2日以降に生まれた者であること」。つまり今年度59歳になる人までで、これは大阪府と同じですね。

資格要件は、まず高等学校を卒業した者であること。加えて、工業・看護それぞれに次のような条件が示されています。

  • 工業……民間企業(私立学校を除く)、官公庁又は公立学校において、正規職員(任期を定めて採用された職員を除く)として受験前過去6年間(平成21年度から平成26年度まで)で通算3年以上の工業に関する実務経験があること。
  • 看護……看護師免許証を有し、国公立又は民間病院等において、正規職員の看護師(助産師、保健師、看護学校等の教官経験を含む)として通算5年以上の実務経験があること。

試験の内容は、第1次選考試験が個人面接とグループワーク。一般選考で課される「教職に関する専門教育科目」「教科に関する専門教育科目」の筆記試験が免除されます。第2次選考試験は一般選考と同じで、個人面接、模擬授業、教科等実技。

提出書類の中で職歴に関するものが、まず特別選考調書。これは過去の勤務先、在職期間、職務内容を記入し、社会人経験を列挙するものです。もう一つが自己アピール用紙。読んで字のごとく、そのままです。

広島県の場合、特別免許授与が前提なので、教員免許の有無は問われていません

前回と今回に分けて、大阪府と広島県の教員採用試験における社会人特別選考の状況を紹介しましたが、その他の都道府県も似たり寄ったりの内容みたいです。

転職して教員を目指す一般社会人にとっては、大きく門戸を開くことになっている制度ですが、疑問を感じている人もやはりいらっしゃるようで、何年も採用試験を受け続け、何が何でも教師になろうと頑張っている一般選考志願者の門がさらに狭くなる、とか、結婚などによって一度退職した教員は新卒と同じ条件で採用試験を受けなけれはならない場合が多く、そのために優れた能力を講師としてしか使えずにいる人たちが数多くいる、という意見もあります。

教育制度、問題は山積しているので、一つ一つ片付けていくしかないと思うのですが、教員の残業時間の保障の問題一つをとってみても、一向に改善に向かう道筋が具体化しませんからね。楽観はできません。