文部科学省、または文部科学省が委嘱する大学が実施する教員資格の認定試験です。根拠規定は教育職員免許法の第16条の2。
この試験に合格した上で都道府県教育委員会に申請すると、受験の種目に応じた普通免許状が授与されます。つまり、教育実習を経ることなく教員免許を取得できるのです。
文部科学省発行の「教員資格認定試験の受験案内」には、「教員資格認定試験の制度は、教職課程を修了していなくても教員としての資質、能力を有する者に教員免許を与える機会を開くためのもので、広く一般社会に人材を求め、教員の確保を図ることが目的」と書かれています。
ときどき間違えられるのは、認定試験合格=教員採用ではないこと。免許状の授与資格が得られるだけで、採用はまた別の話なので、公立学校の正規教員になるには採用試験に合格しなければなりません。
認定試験ですが、このような変遷をたどっています。
- 1964年 高等学校(柔道、剣道、計算実務)開始
- 1973年 高等学校(看護、インテリア)追加、小学校開始、特殊教育(聴覚障害、肢体不自由、言語障害)開始
- 1974年 高等学校(デザイン)追加
- 1975年 高等学校(建築)追加
- 1989年 特殊教育(視覚障害)追加
- 1994年 高等学校(情報技術、情報処理)追加
- 2000年 高等学校(情報、福祉)追加、特別支援(自立活動4種)名称変更
- 2004年 高等学校休止
- 2005年 幼稚園開始
管理人は休止前年の2003年、事実上の最終年に高等学校教員資格認定試験を種目「情報処理」で受けて合格することができました。「情報処理」は教科「商業」の一部領域です。
その後、これを基礎免許にして当初の目標だった「地理歴史」の免許も取得しましたが、結局、地歴免許を活用することなく、情報処理や情報科目のT.T(チームティーチング)で授業に携わり、校務分掌では情報機器やシステムの運用管理を担当して現在に至っています。
認定試験の合格率等は公表されていませんが、口コミでは5~10%とか。ちなみに、管理人が受験した年の「情報処理」は、受験者は確か300人あまりで合格者はわずか6名。合格率2%という超難関だったようです。
現在、認定試験合格で取得できる免許状は次のとおり。
- 小学校教諭二種免許状
- 幼稚園教諭二種免許状
- 特別支援学校自立活動教諭一種免許状(聴覚障害教育)
- 特別支援学校自立活動教諭一種免許状(肢体不自由教育)
残念ですが、上述のように高等学校の試験は2004年以降は休止。法令改正を避けるために「休止」という言葉が使われていますが、事実上の廃止とみなされています。
「特別免許状の活用によって代替できる」というのが、休止の理由らしいのですが、特別免許状の制度はコネクションに依存する部分が多く、透明性や公平性に疑問があります。一般社会人から広く有為な人材を求めるという目的からすると、認定試験の方に分があるように思うのですが。
免許状の制度もターニングポイントに差しかかっていますからね。ここ数年のうちに大きな変革の時を迎えるかもしれません。
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